About
Yuki Yoshimura Washi Studio:
福岡県福津市・津屋崎の歴史ある海辺の町の近く、田園に囲まれた小屋を改装し、和紙制作の工房として再生しました。周囲には山々が連なり、遠くに波の音が聞こえる静かな環境です。
当スタジオで取り扱う製品は、すべて和紙作家・吉村祐樹がデザイン・制作を行っており、和紙づくりから仕上げまで一つひとつ手作業で制作しています。(和紙についてはこちらをご覧ください)
サイズや形、デザインのご希望がある場合はお気軽にお問い合わせください。特注・セミオーダーにも対応いたします。
スタジオは、「Yuki Yoshimura Design and Craft Inc.」の一部門として運営しています。和紙制作のほか、家具や革小物(財布など)の制作、住宅や店舗などの照明・インテリアに関するデザイン相談も行っています。詳しくはInstagramにて作品や活動をご覧いただけます。
お問い合わせは、ウェブサイトのお問い合わせページ、またはメール(yukiyoshimurawashi@gmail.com)、InstagramのDMからお願いいたします。
吉村 祐樹(1984年 福岡生まれ)について
ものづくりは幼い頃から身近な存在でした。子どもの頃は魚取り網や模型を作り、学生時代は革小物、大人になってからは家具や家庭菜園など、興味の赴くままに多くのものに挑戦してきました。
大学では建築学を専攻し、和紙が「衰退しつつある伝統工芸」として紹介されたことをきっかけに強い関心を持ちました。それまで和紙の特徴や可能性を十分に理解していませんでしたが、特に光を柔らかく拡散させ、落ち着いた空間を生み出す素材としての魅力に惹かれました。修士論文では「現代建築における和紙の活用」をテーマに研究を行いました。
卒業後は栃木県の和紙工房で弟子入りし、2年間にわたり多様な和紙の技法や用途を学びました。また、茅葺古民家の民宿に勤務し、農作業など田舎の暮らしにも触れ、都市育ちとして大きな影響を受けました。
その後、結婚を機に福岡へ戻り、出身地である福岡市の都市部ではなく、津屋崎に住むことを選びました。九州産業大学建築都市工学部住居・インテリア学科で9年間教鞭をとる中で、教育と子育てに追われる日々を送りながらも、和紙制作への思いが途切れることはありませんでした。
津屋崎での暮らしの中で、地域で耕されなくなった畑や土地の変化を日常的に目にするうちに、農や手仕事と暮らしの関係性への関心が、次第に深まっていきました。土地や人との距離が近いこの場所での生活は、家族や地域とともに過ごす時間の重みを、あらためて実感させるものでした。
住居と農、そして手仕事を含む生業が、分断されることなく連続した生活の構造として成り立つあり方を思い描くようになったのも、この頃です。子どもが小さい時期には、できるだけ近くで成長を見守りたいという思いも強くなりました。39歳を迎え、これからの10年、15年をどのように生き、働くのかが重要な時期であると考えるようになりました。
津屋崎のまちで、子どものそばにいながら、自宅の近くで働く人々の姿に触れ、こうした暮らしと仕事のかたちこそが理想ではないかと感じるようになりました。一方で、大学での勤務はとてもやりがいのあるものでしたが、長時間労働や通勤を伴う生活の中で、その実現は容易ではなく、熟慮の末、2024年に退職を決断しました。同時に退職後の一年間、職業訓練校で家具制作を学び、和紙製品のフレームや構造部分など木工技術の基礎を身につけました。
2025年「Yuki Yoshimura Design and Craft Inc.」を設立。現在は和紙制作を軸に、家具制作、革小物、農作業、教育などを季節や暮らしのリズムに合わせて行っています。かつての農家が、夏は農に励み、冬は手仕事に取り組んだように、必要とされること、作りたいもの、支えたい場所に応じて役割を行き来しています。
ものを作るときに常に考えるのは、「物が溢れる現代において、自分は何を、なぜ作るのか」という問いです。和紙の光と温かみが空間に静けさと安らぎをもたらし、暮らしの中にささやかな心地よさが生まれることを願いながら制作しています。